都市伝説

私の街の商店街には、よくお札が落ちている、という伝説があります。私も現に、一万円札が地面に落ちている場面に遭遇したことがあるくらいです。 その商店街は、アーケード通りになっていて、南北に風が吹き抜ける非常に長い商店街です。秋冬になると、北風が凄い勢いで吹き抜けていくので、目を開けるのも精一杯な真冬日もあったりします。 私が落ちている一万円札に遭遇したのは、秋も深まった頃のことでした。木枯らしが吹いて、枯れ葉が商店街の中でミニ竜巻状態になり、高く舞い上がって砂埃が目に入った状態で、私は視界の端に一万円札を発見しました。自分の目を疑いましたが、どう見ても本物の一万円。でも、凄い竜巻風にさらされているので、いっときもじっとしていません。お札は、右往左往し、高く巻きあげられて宙を舞ったり、地面に落ちたりと忙しなく動き続けています。第一発見者は明らかに私でした。一人で商店街を歩いており、自然に足が立ち止りそうになりましたが、さすがに一人の身、お札に飛び付く訳にもいきません。しかも、お札が激しく舞っているため、簡単に拾えそうにもありません。もし私が二人連れであったら、意気揚々と拾いに行ったと思います。 やむなく、風に舞うお札の傍を通りすぎていったのですが、周囲の通行人全員の視線が、一万円札を追っていたのを見て、さすがに噴きそうになりました。誰もが一人で歩いていたのです。みんな、歩みが遅くなっています。拾うか否か、躊躇っていたのでしょう。 私が完全にお札から遠ざかったとき、後ろで甲高い数人の叫び声が上がりました。見れば、女子高生3人組が一万円札を拾って、跳ねて大喜びしている姿でした。分け前がどうのこうの、という会話が聞こえてきて、(格好つけてる場合じゃなかった…)と後悔したのでした。

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